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令和3年 6月 23日
鵬雲齋千玄室大宗匠御奉仕 裏千家献茶式のご報告(令和3年6月23日沖縄の日 )
六月十七日(木)午前十時三十分、白寿をお迎へになられました裏千家今日庵鵬雲齋千玄室大宗匠御奉仕による献茶式を齋行いたしました。旧海軍十四期飛行予備学生であり裏千家前家元のお点前により、故郷の清水で点てられた濃茶薄茶が二万八千六百八十二柱の英靈に捧げられました。
この献茶式は、一般社団法人茶道裏千家淡交会富山支部(新田八朗支部長)が創立八十周年を記念して、昨年齋行される予定でありましたが、新型コロナにより一年延期しての齋行であります。また、鵬雲齋千玄室大宗匠は、祀られてゐる森丘哲四郎命(富山県黒部市出身)と同期の桜であり、共に厳しい訓練に励み、その合間には一緒にお茶も嗜んでをられ、宮司が以前より切望してゐた献茶式であり、今回淡交会富山支部の絶大なる協力により実現した献茶式であります。
当日は、森丘哲四郎命の兄森丘實氏の長女髙桜美根子氏(朝日町在住)と、妹名和まさゑ氏の長女名和まどか氏(京都府長岡京市在住)の姪二人の御遺族が、遠路駆けつけ参列されました。
神社へ到着されました大宗匠は、お着替への前に展示室である遺芳館を拝観。兵舎前で集ふ特攻隊員の写真をご覧になられ、「これは徳島の兵舎だ」と宮司に話し、その上にある英靈の遺影を見た直後、「眞野ーっ。」と遺影に映る眞野敏弘命(富山市出身)を抱き寄せるかの如く両手を差し出して叫ばれ、七十六年ぶりに拜したであらうお顔を直視し、「富山の出身だったのか。」と目頭を熱くされ、この遺芳館でもう一人の富山県出身の同期の桜にお気づきになられたのでありました。
献茶式お点前の作法は立礼で行はれましたが、お点前のお茶が宮司に渡され御神前へお供へされる時、大宗匠は突然正座になられて額き、祈りをお込めになられるのでありました。また、玉串拜禮の時、森丘哲四郎命の御遺族が拝禮される際には、直立して共にお偲びになられ、戰友である英靈に心込めて拜されるそのお姿に、参列者一同一入に感動した献茶式でありました。
コロナ禍の状況や梅雨時の天候を心配しての齋行でありましたが、英靈の嬉し涙か早朝五時頃降った雨で境内が清められ、戰場で斃れ末期の水もいただけぬまま亡くなられたことに思ひを馳せ故郷立山の雪解の清水で大宗匠が点てられる献茶式は、参列の皆様方のご協力のもと、梅雨の晴れ渡る中、無事に厳粛裡に斎行することが出来ました。ご協力いただきました皆様方に厚く御禮申上げます。まことにありがたうございました。