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平成21年 2月 23日
辺要の島・対馬視察研修報告(平成二十一年二月二十五日)
國境の島・対馬の視察研修を平成二十一年二月四日(水)~六日(金)の二泊三日の行程で開催いたしました。
富山縣護國神社崇敬會と日本会議富山の共催で現況の視察を目的に十二名が参加しました。
一日目は、小松空港より福岡空港へ移動し、宗像大社・宮地嶽神社・筥崎宮へ参拜、そのまま福岡市内に泊まり、二日目に目的の対馬へ飛行機にて移動しました。
対馬やまねこ空港では、現地ガイドの小松津代志さんの出迎へを受け、バスにて対馬最北端の海栗(うに)島(韓国)展望所を目指し出発。小松さんは陸上自衛隊を退官後、対馬に移住し現在は対馬防衛協会事務局長をされてをり、我々は対馬の歴史から現在の状況に至るまで詳しく解説をいただきました。その小松さんの解説にて、海栗島(航空自衛隊基地の島)展望所・豊砲台跡・殿崎の日本海海戦記念碑(日露友好の丘)・海神神社・和多都美神社・万関橋・大船越番所慰霊碑・重砲兵連隊正門柱跡・竹敷の旧日本海軍要港部を視察後、対馬市厳原の宿泊地へ移動、三日目には、対馬藩お船江跡・野良遠見の旧陸軍墓地・対馬歴史民族資料館・万松院を廻り、鶏知の住吉神社を参拜して空路にて福岡を経由し帰つてまゐりました。
大陸を繋ぐ國境の『辺』であり日本海と東シナ海を結ぶ『要』である対馬は、『延喜式』より『辺要』と定められているほど古代から日本防衛線最前線にして戦略的要衝であります。しかしながら歴史上、本土から防人として手厚くされたり見捨てられたりを繰り返へされてきました。
今回の視察研修にて感じたことは、現在日本人の北方領土や竹島などの領土問題や離島についての意識低下の現況は、対馬が本土から見捨てられた時代と同様に思へて不甲斐無さが増すばかりでありました。北方領土返還要求はもとより、竹島や対馬、他の離島の重要性を認識し、國防意識を高めた上で、外交や交流はしていかなければならないのではないでせうか。
航空自衛隊海栗島分屯基地と豊砲台
海栗島の海洋40km離れたところに韓国の釜山があり、空気が澄んでいれば見えるさうです
日露友好の丘に立つレリーフ レリーフは高岡市の株式会社四津井 代表取締役社長 四津井宏至さんが製造・奉納されてをります
日本海海戦の碑は日露友好の丘・殿崎の地にあり、ここは撃沈されたロシア兵が上陸したところの一つで、農婦たちはこの敗残兵を泉へ連れて行き、そして民家へ分宿させるなど手厚くもてなしました。その碑には、東郷元帥揮毫『恩海義嶠』(めぐみのうみ、ぎはたかし)と書かれてをります また、ここより東の海原は、まさに日本海海戦の戦場であり、写真では解りにくいですがおよそその位置のみ、日光が射してをりました
海神(かいじん)神社(大変立派で大きな木造の御本殿でした)と和多都美(わたつみ)神社(安芸の宮島を彷彿されます鳥居が海上に聳えてをります)
万関(まんせき)橋より万関運河を浅茅(あそう)湾方面を望む
明治二年、日本海軍は浅茅湾から東水道に出動できるやうに万関瀬戸を開削され、翌年運河が開かれました
大船越番所慰霊碑
文久元年(一八六一年)ロシアの軍艦ポサドニック号が浅茅湾に停泊、自国軍の根拠地とするため不法占拠し二名を殺害(対馬事件)。幕府、対馬藩は武力で解決する力はなく、同じくアジア進出を目論んでいた欧州の英・仏の英の力を借りて解決となりました。
この対馬事件四月十二日、露人の船が番所を無理やり通過しやうとして百姓たちと衝突。露兵が発砲し、安村安五郎が即死、吉野数之助が捕らへられ乱暴な拷問を受け恥辱に我慢できずに舌を噛んで自害を図り、治療を拒み生命を絶つ。両氏は明治二十四年、戦死者の待遇を受け靖國神社に合祀され、その後慰霊碑が建立されました。碑には乃木大将揮毫『忠勇』(安村安五郎)『義烈』(吉野数之助)と書かれてあります
旧日本海軍要港部は現在一部が海上自衛隊対馬防備隊本部となつてをり、旧日本海軍が水雷艇の停泊地として開発された軍港部分は戦後真珠の養殖業者が購入し営まれてをりましたが、海水温の上昇によつて真珠の質が落ちて経営が困難になり、自衛隊・国や県へ用地の買収を打診しましたが頓挫され、結局韓国資本に買収されてリゾートホテルが建設されてをります。現況の中で一番危惧される場所であります。
海上自衛隊対馬防備隊本部と韓国資本リゾートホテルは僅か金網一枚でしか仕切られてをりません
旧日本海軍が水雷艇の停泊地として開発された軍港部分(リゾートホテル内)
この建造物は『土木学会』によれば近代土木遺産の「A」ランク(国指定重要文化財に相当)ださうです
天皇皇后両陛下は平成二年五月に長崎縣で開催された「全国植樹祭」に併せて真珠養殖場をご視察あそばされてをります。真珠の養殖業者が建てた行幸啓を記念する碑もリゾートホテルの敷地内でありました
対馬藩お船江跡と野良遠見 旧陸軍墓地(対馬警備隊の先人戦歿御英靈の墓地)
今回の対馬視察研修に御参加いただきました皆様、ガイドの小松津代志様、まことにありがたうございました。
また本記事をご覧いただきました皆様は是非、國防意識をさらに高めていただき、日本がよくなるやうにご尽力いただきますれば幸ひに存じ上げます。